和田 岳


鳥類が専門で哺乳類や両生爬虫類も担当する自然史博物館の学芸員


鳥の生態を調べるのが専門だが、哺乳類、両生爬虫類、淡水貝、海浜甲虫、水草、海浜植物、外来生物(ハッカチョウやヌートリアなど)の分布を調べていることも。大阪府周辺と奈良盆地が今のなわばり。なにわホネホネ団の事務局長、ジュニア自然史クラブの副部長、大阪鳥類研究グループの下働き。

ワーク

あなたの今(またはこれまで)の仕事や活動の内容や、きっかけを教えてください

研究職を目指す中で、たまたま学芸員の募集があったので応募した。

仕事や活動をする上で、どんな学びや経験・体験が役立っていますか?

子どもの頃からの自然観察・観察会への参加経験、生き物の飼育・栽培体験。学生時代の研究室や学会での人とのつながり。今まで読んできた本(小説を含む)と論文。

仕事や活動に関してエピソードなどがあれば教えてください

とある公園で鳥の調査をしていたら、知らない大学生に声を掛けられた。なんとなく知ってるような知らないような。という顔をしていたんだろう。自己紹介してくれた。小学生の頃、よく鳥の観察会に来てくれていた子だった。まだ鳥に興味をもってくれていた。

あなたの仕事や活動で誇(ほこ)りに思うこと、やりがいや面白いと感じることは何ですか?  

子どもの頃に博物館によく来てくれていても、大学生以上になると、あまりこなくなる。でも、どこかでふと出会ったりしたときに、自然への興味を継続していたり、調査研究を仕事にしていたりするのが判ると嬉しい。

今、一番がんばっていることは何ですか?

市民と共同で大和川水系(南河内と奈良盆地)の生物の分布調査プロジェクトを実施中。2026年度冬に特別展で成果発表を予定。現在、河川・ため池の水鳥、ツバメ類、イソヒヨドリ、カエル類、ヌートリア、カヤネズミなどの調査を鋭意遂行中。

仕事や活動で、将来実現したい具体的な目標や夢を教えてください

鳥類や哺乳類の標本を作ることは、おもな仕事の一つ。採集するのではなく、落ちているのを届けてもらった死体が、標本の材料。死体が集まるスピードが速く、標本化できていない死体がたまりにたまっている。これを全部標本にしたい。

これまでの失敗や挫折(ざせつ)体験などを教えてください

毎日失敗だらけなので省略。

将来の進路について悩(なや)んだり迷ったりしたときにどうやって決めましたか?

眼の前の課題をこなすのに集中する。

あなたの一日の流れを教えてください

時間

やること

5:30
|
7:00

起床・朝食など

7:00
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8:00

電車通勤

8:00
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16:00

野外調査

16:00
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17:00

電車移動

17:00
|
18:00

昼食・休憩

18:00
|
23:00

デスクワーク

23:00
|
25:00

夕食・読書・就寝

ライフ

小中学生のころはどんな子どもでしたか?

引っ込み思案、読書好き、動物好き

小中学生のころ、好き(あるいは得意)だった教科・活動・遊びは何ですか? 

バードウォッチング、SFとミステリ好き。

好きなことや趣味(しゅみ)、ハマっているものについて、熱く語ってください

小学6年生からバードウォッチングにはまっていて、現在に至る。九州や北海道に行く時は、海鳥が見たいので、飛行機ではなくわざわざフェリーに乗る。それでいて船酔いする。ただ、鳥に熱中している間は酔わない。鳥を見たいからということもあって、島に行くのも好き。今年ははじめて佐渡島に行く予定で、とても楽しみ。

いま熱く語っていただいたことについて、エピソードがあればお願いします

名古屋港から仙台港経由で、北海道の苫小牧港に行く太平洋フェリーというのがある。名古屋港からフェリーに乗って北海道に行って、すぐまたフェリーで帰ってきたことがある。フェリーに乗ること自体が目的なので。海鳥以外に、イルカやオットセイが見られることもある。

「絶対にこれだけはしない!」と心に決めていることを教えてください

子どもに対して、大人目線で偉そうにすること。

生きている間に「これだけはやっておきたい」ことを教えてもらえますか?

小笠原諸島やトカラ列島、利尻島、隠岐といった島に行きたい。買ったまま積んであるSFをすべて読みたい。

閲覧してくれているみなさんへのメッセージ

自然史博物館は、生き物や化石、岩石など自然に興味のある人にとって楽しい場所です。行事やそこで活動しているサークルに参加すれば、同じ興味を持った知り合い(同年代、違った年代に関わらず)を作ることができます。学校に同じ興味を持った人がいなくて、好きなことについて語れなくて残念に思っている人は、是非利用してみてください。

和田 岳” に対して6件のコメントがあります。

  1. khaki001 より:

    こんにちは。
    私は、幼稚園の年少のころに背中に虫を入れられ、虫が怖くなりました。
    お父さんは小学生のころ、セミやバッタを取りに裏山を走り回っていた。
    昆虫は、怖くないよと言ってくれますが、虫の姿を見ると背中で動き回られた感覚がよみがえります。
    私も子供を育てるようになったときに、一緒に昆虫採集をしてみたいと思っています。
    どんなことから始めると怖くなくなるでしょうか?
    教えてください。
    お願いします。

    1. 和田 岳 より:

      博物館の野外観察会には、親子連れが多く参加されます。とくにお母さんは、実は昆虫が嫌い・怖いという方も少なからずいます。でも、子どもが昆虫採集したいというので、我慢して付き合っておられるようです。昆虫は嫌いだったけど、子どもと一緒に昆虫採集をしてみたら、嫌いじゃなくなった人もいます。食わず嫌いだった人もいるでしょうし、いやいやでも昆虫採集してたら慣れたという人もいます。捕まえてよく見ると意外と可愛いとか、名前調べるのが楽しいという人もいます。一方、子どもには付き合うけど、やっぱり昆虫は苦手という方も普通におられます。嫌いなものは嫌いなので、仕方がありません。
      昆虫採集とどう付き合うかは、子どもを育てるようになってから考えたらいいように思いますが、それまでに修行をしておきたいのなら、自然史博物館などの野外観察会に参加することをオススメします。昆虫に慣れる機会になりますし、昆虫採集を楽しんでる人を見てたら気が変わるかもしれません。なにもすべての昆虫を好きになることはありません。お気に入りの昆虫を見つけられたら、大きな一歩です。
      でもまあ、結局のところどうしても嫌いなものは嫌い、怖いものは怖いで仕方がありません。私も家に出るGは触れません。ただ、子育てにかかわるのであれば、大切なことが一つあります。子どもが昆虫に興味を持っている時に、「気持ち悪い」とか「触ってはいけません」といった否定的な言葉を投げかけないでください。親や教師など、大人の言葉は子どもに大きな影響を与えます。否定の言葉は、せっかくの子どもの興味をつんでしまう恐れがあります。内心はさておき、「面白いねぇ」といった肯定的な言葉をかけるように頑張ってください。
      ちなみに博物館の観察会で山に行くと、森林棲のオオゴキブリというのが見つかることがあります。でっかいGです。苦手です。でも、昆虫好きの子ども達は、捕まえて見せに来てくれます。やむを得ず「すごいねぇ。貴重やねぇ。でも、苦手なので持ってこなくていいから」と発言。するとドンドン持ってくる。私は怖いから逃げる。といった形で盛り上がります。私は無駄に疲れますが、子ども達は楽しそうです。

  2. green709 より:

    たくさんの生き物がいる中でなぜ鳥類を専門にしたんですか?

    1. 和田岳 より:

      鳥類担当学芸員に採用されるには、通常は大学院で鳥を研究している必要があります。ということで、どうして大学院で研究対象を鳥にしたのか、という質問ですね。
      小学生の頃から生き物全般が好きでした。各種図鑑を眺めていましたし、生き物の出てくるテレビ番組も見ていました。小学6年生の時に、バードウォッチングなるものがあると知り、親に連れて行ってもらいました。冬のカモの観察会で、綺麗なカモがたくさん見られて楽しかったです。これをきっかけに鳥にはまったと思います。中学生の時に行ってた観察会には、鳥類だけでなく、植物や哺乳類のフィールドサインの観察会もあったのですが、高校生になると鳥見ばかりするようになったので、やはり鳥が好きだったのでしょう。大学生になって野生生物研究会というサークルに入ったのですが、鳥に詳しかったので既に鳥担当でした。この頃、クモやキノコにも興味があったのですが、未記載種が多く、図鑑に全種が載っていないので、種名が調べられないのが不満でした。その点、鳥は図鑑を見れば名前を調べられます! そのまま大学院でも鳥の研究をすることにしました。
      ということで、鳥を専門にした理由は、小中学生の頃から鳥を見ていたからということになります。
      ちなみに大学院での研究対象の選び方は人それぞれです。中高生の頃から研究していた人がいれば、なんにも知らないまま指導教員に勧められて選ぶ人もいます。私の知る限りでは、優秀な研究者になるかどうかは、大学院以前の経験値はあまり関係ないようです。むしろ、あまり早いうちから、狭い対象に特化せずに、広い興味を持って、いろいろな経験をしていた方がいいようです。少なくとも学芸員になると役に立ちます。
      小学生の頃、アメリカザリガニを飼っていた経験が、役に立ったことがあります。大学のサークルにはヘビ好きが多く、自ずとヘビに詳しくなりました。おかげで、学芸員になってヘビも担当することになっても大丈夫でした。

  3. green709 より:

    僕は爬虫類を飼っているのですが、恐竜みたいなフォルムに惹かれました。和田さんはどんなところに興味を持ちましたか?

    1. 和田岳 より:

      鳥は恐竜の一系統なので、鳥類を研究している私は、すなわち恐竜研究者です。でも、恐竜化石にあまり興味がないので、恐竜研究者とはちょっと名乗りづらいです。
      逆に、化石脊椎動物を研究する人達の中には、論文で“鳥類”とは書かずに“現生主竜類”と書いたりします。こういうみなさんは、恐竜を研究したくて、でも恐竜化石を直接扱うのはハードルが高いので、(やむなく代わりに?)鳥類の骨格を研究しているようです。鳥類を研究していても、恐竜研究者なのでしょう。
      私が鳥の研究を始めたのは、大学での卒業研究からですが、大学に入学した時から鳥を研究したいと思っていました。それは溯ると、小学生6年生の時に、初めてバードウォッチングに行ったことから始まります。初めてのバードウォッチングが楽しかったのはたまたまですが、その後もずっと鳥に興味を持ち続けたのは、鳥という分類群のいくつかの特徴からきていると思います。
      思いつくままにあげていくと、
      ・基本的に図鑑に全種載ってる。未記載種がとても少ないのは、鳥類の大きなメリットです。日本初記録の種であっても、海外の図鑑には載っています。それに引き替え、クモやキノコなど他の多くの分類群は未記載種だらけで、新種を見つけたければ楽しいのでしょうけど、名前調べは困難を極めます。そもそも既知種すべてが載った図鑑がありません。
      ・たいていの鳥は、昼間に姿あるいは声で確認でき、比較的容易に行動を観察できる。この特徴は、研究する上で極めて重要です。バードウォッチングという趣味の普及にも大きなメリットです。バードウォッチングがある程度普及しているおかげで、多くのアマチュアを巻き込んで、日本全体の鳥類の分布調査も行われています。
      これに対して、哺乳類は夜行性の種が多く、鳴き声やフィールドサインでの生息確認も難しいので、そもそもアマチュア層が育っておらず、同じような全国規模の分布調査は行われていません。哺乳類屋は鳥がうらやましいようです。
      ・山や海上から街まで、鳥はどこにでもいます。それはつまりどこに行っても、鳥の観察ができるということです。どこでも楽しめます。植物や昆虫も(海上を除けば)どこにでもいて観察を楽しめます。ただ、街中で昆虫採集しているととても怪しい。道端の雑草をしげしげと見てる人はかなり変。なのに対して、街中で鳥を見ていても、キョロキョロしてる少し変わった人程度におさまります。知らんけど。
      ・あと羽根がフワフワしてて可愛い。反論は認めません。
      ちなみに、鳥類には不利な点もあります。研究上大きいのは、飼育がしばしば困難であることです。飼育下で実験しようとすると、かなり大きな施設を用意する必要があります。簡単にはできません。飼育下で実験してさまざまな結果を出してくる魚類や昆虫などがうらやましいこともあります。

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