高田 祐一
「文化財のデジタル化に取り組む研究者」「城郭石垣と石切場の研究者」
文化財のデジタルアーカイブ、考古学的データの可視化、GIS(地理情報システム)や3Dなどのデジタル技術を活用した文化財情報の収集・分析・公開に取り組む研究者です。また大阪城石垣やその石切場の現地調査も行なっています。
ワーク
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あなたの今(またはこれまで)の仕事や活動の内容や、きっかけを教えてください
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大学時代に従事した文化財調査や発掘調査です。調査現場には、学校の教室の中にはなかった感動体験がありました。兵庫県伊丹市の江戸時代のお墓調査では、江戸時代の入れ歯が出土しました。2,300年前の人の確かに生きた証が目の前にあり、現代のものとほとんど見た目が変わらないのです。教室の授業や本は、他人から与えられる感動です。一方、出土したばかりの本物は、現代で自分が最初に発見して自分だけの感動です。小さなことかもしれませんが、一番最初に自分だけがその感動を独占できるというのは魅力的だと思いませんか。
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仕事や活動をする上で、どんな学びや経験・体験が役立っていますか?
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自分で考えて実践し試行錯誤を繰り返すことです。ゲームは試行錯誤の連続ですよね。
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仕事や活動に関してエピソードなどがあれば教えてください
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昔では夢のようなことが、今はデジタル機器が安くて高性能になったことで今は簡単に実現できるようになりました。以前はたくさんの人と高価な機材が必要だったものが、今では極端に言えば一人でも(安全確保は必須です)、それ以上の調査が可能になりました。アイデア勝負の時代になり、一人でも成果を挙げられる時代です。
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あなたの仕事や活動で誇(ほこ)りに思うこと、やりがいや面白いと感じることは何ですか?
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文化財調査の成果は、レポートや論文にまとめることで未来にまで引き継がれることです。個人の研究として、大坂城石垣の石切場を調査していますが、1960年代から先輩方が地道に調査をして、今の世代がそのバージョンアップを図っています。次の未来世代にも引き継がれるでしょう。400年前の人たちの痕跡を昭和世代が調査し、未来にわたってバトンが引き継がれていく。数百年にわたって壮大なリレーをしていると感じます。
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今、一番がんばっていることは何ですか?
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時間がないので、業務の効率化です。新しいことにチャレンジするには時間が必要です。でも人間は1日24時間と公平に決まっています。やるべき仕事を圧縮して高速化できれば、時間を捻出できます。その時間を新たなことに投資して成果を出す。いまは生成AIを支援ツールとして使うことで、仕事が数倍早くなりました。特に文章の添削に使っています。
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仕事や活動で、将来実現したい具体的な目標や夢を教えてください
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すべての文化財に関する情報を一つに紐づけて、アクセス可能にすることです。全国民がすべての文化財情報に簡単にアクセスできる環境を構築することで、文化財の未来への継承に繋げます。
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これまでの失敗や挫折(ざせつ)体験などを教えてください
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仕事での無駄な「失敗」はありません。実際はうまくいかないことがいっぱいですが、それでも得るものは何かあるので、無駄にはならないものです。
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将来の進路について悩(なや)んだり迷ったりしたときにどうやって決めましたか?
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選択や意思決定に関する本をいくつか読みました。どうやって何を基準に「選択する」「決める」ということ自体を決めたら、答えはおのずと出ます。『選択の科学』(シーナ・アイエンガー 櫻井祐子)が参考になると思います。また、中高生の時は司馬遼太郎の歴史小説をよく読みました。登場する歴史上の人物たちは、未来を事前に知っていて行動しているわけではなく、不意に直面する問題に足掻いて対応しています。
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あなたの一日の流れを教えてください
時間
やること
6:00
起床
7:00
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8:00
家事
9:00
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10:00
メール返信
10:00
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11:00
打ち合わせ2件
11:00
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12:00
書類作成
12:00
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13:00
お昼休み
13:00
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14:00
打ち合わせ
14:00
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15:00
メール返信
15:00
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18:00
書類作成
18:00
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20:00
研究
21:00
夕食
21:00
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23:00
家事
23:00
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24:00
ドラマ視聴
24:00
就寝
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WEBページ・SNSなどはありますか?
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こちらをご覧ください。 https://researchmap.jp/ytakata
ライフ
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小中学生のころはどんな子どもでしたか?
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ゲームが大好きでした(今も好き)。小学生のときには、週1日1時間だけでしたので、ずっと待ち遠しく1週間を過ごしていました。中学生になると、クラブ活動が終わり次第、帰宅してゲームをしていました。友人と対戦ゲームをしたり、ひとりでもしていました。
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小中学生のころ、好き(あるいは得意)だった教科・活動・遊びは何ですか?
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好きな遊びはゲームですね。特にシミュレーションゲームですね。限られた条件下で最大限の成果を出す試行錯誤の過程が快感ですね。「信長の野望」などをしていました。戦い方やタイミング次第で弱小勢力が強い勢力に勝てます。織田家はチートなので、地元勢力の播磨の赤松氏でやっていました。
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好きなことや趣味(しゅみ)、ハマっているものについて、熱く語ってください
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現在は、家庭菜園での野菜作りです。マンションのベランダなので、プランターです。これまで、じゃがいも・なすび・トマト・にんにく・にら・唐辛子・ピーマン・サトイモ・キュウリ・パプリカ・イチゴ・ししとうなどを栽培しました。にんにくは放置していればできるので、おすすめです。
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いま熱く語っていただいたことについて、エピソードがあればお願いします
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試行錯誤の結果が収穫量として結果に出ると嬉しい(悲しい)。収穫量の最大化が目標なので、いつも作りすぎます。ししとうは食べ飽きました。
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人と向かい合うときに大切にしていることはなんですか?
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適切な距離感です。昔、剣道をしていました。剣道は間合いが大切です。その一歩でやるかやられるかという絶妙な距離感です。離れすぎると試合になりません。人間関係も相手の反応を見ながら、ジリジリと距離感を詰めたり離れたり。
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生きている間に「これだけはやっておきたい」ことを教えてもらえますか?
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すべての文化財の情報にアクセスできるようにすること。あまり知られていませんが、文化財の調査成果は大量に報告されています。せっかくなので、簡単にいつでもどこでも見れるようにしたい。それをさらに次世代の皆さんでバージョンアップしていってほしいです。
石垣のテーマでは、日本にいくつお城の石垣があって、いくつの石垣石があるか知りたい。わかれば面白くないですか?おそらくそれを解明する過程でいろんなことが学術的にわかってくると思います。
閲覧してくれているみなさんへのメッセージ

将来はわからないものです。今は、勉強などが大変だと思うことでも将来役立つことがあります。中学生の時、仕事で海外に行くことはないと思っていたので、英語の勉強に身が入りませんでした。しかし、今は年に数回海外に行きます。また今はAIや機械学習の知識が必要です。数学も必要です。大学では、歴史学を学びましたが、民間企業に就職しました。その後、文化財の研究所に転職しました。民間企業でシステムエンジニアとして働いた経験が今の仕事に役立っています。「人間万事塞翁が馬」です。将来はわからないので、その場その場で努力すれば、何か役に立つことがあると思います。




こんにちは。
僕は釣りが好きです。
釣り番組を見ていると釣り具のメーカーの人やプロみたいな人が出てきます。
好きなことを仕事にするのっていいなぁと思っていたんですが、釣り具の宣伝で釣りをしているおっちゃんが「釣れへんときはほんまやめたい。しんどい。こんなん仕事にせんかったらよかった。趣味でしてた時の方がおもしろかった。」と言っていたのを聞いたことがあります。
好きなことを仕事にするってどんなかんじですか?おっちゃんが言ってたみたいにやめたくなったりしますか?
教えてください。よろしくお願いします。
お金をもらってする仕事なので、しんどいことはたくさんあります。好きなことだけをやっているわけでもありません。自分が好きなことでも、やりたいことだけをやっていてはダメですよね。スポーツでも音楽でもなんでも、たくさんの練習をして、初めて試合や大会に出場できます。好きなことをやるために、しんどいこともやることが大事です。どうせなら好きなことのために、しんどいことをやったほうが良いかなと思います。
こんにちは。私はお城などの文化財や歴史に興味があります。
博物館の学芸員は何となく想像できるのですが、研究者のお仕事については、あまりイメージがわきませんでした。今回、高田さんの記事に書かれていた、自分で機器を使って調査し、レポートにまとめて未来へ受け継ぐ仕事というのはすごいなと思いました。
私は将来、どんな仕事をしたいかはまだよくわかりません。高田さんは文化財調査現場で感動した経験を書かれていましたが、私もこれからいろいろなことに挑戦してみて、自分の関心とも向き合いながら、つきたい仕事を決めるきっかけを探したいと思います。
とても参考になりました。ありがとうございました。
文化財や歴史に興味があれば、ぜひ何かテーマを立てて自分で調べたりしてみてください。新たに何かを発見するというのは非常に楽しいものです。
やらないといけないことが多くて忙しいと思いました。